Genocide

 今日は学校に来ていた規皆さんだが、酷く顔色が悪かった。 むしろこの教室にいて平然としているのはごく一部のように見える。 これはただの偶然か、それとも何かあるのか……。
 だけど何かを思い出そうとしても、記憶は全て赤に塗りつぶされている。 抜け落ちた記憶に感じる思いは誰でも白なんだと思っていた。 だけど私は白ではない、まして黒でもない……真赤だった。
 授業は何も頭に入ってこない、むしろ先生方もどこかぎこちないように思う。
 特に千草先生はいつも適当でつまらなそうに授業をしていたのに、 どこか神妙な面持ちだった。 この間私を連れ出した時に七瀬君に言われた言葉を気にしているのだろうか。 しかし私と目が合うと少し顔を歪めて目を逸らした。
 正直そんなに嫌われているのだろうかと少し傷付くが、 私も千草先生に良い感情は持っていないからお互い様だ。
 土曜日は午前中しか授業はない、だけど私はそれが終わっても教室から動けなかった。 俯いたまま自分の席で全員が帰るのを待つ。 二ヶ月前ならそれが当り前だった。 彼と二人で教室をでるなんてありえなかったのだから。 だけどそんな理由じゃない、何かに感じている後ろめたさからだ。
 聞こえてくる小声全てが陰口のように感じてしまう。 実際声には出していないだろうけど、度々邪気を帯びた視線を感じてならないのだ。 私はその原因を知っているのに忘れた。 いや、忘れたからこうなったのか? わからない。
 ほとんど人のいない教室の中、ポンと頭に何かが乗った。 それは頭をぐちゃぐちゃとして、撫でているのか意地悪してるのか良く判らない。 だけど何だか涙がでそうだった。
「帰ろ」
 見上げた先には笑顔だけどどこか憂いを帯びた表情を浮かべた彼がいた。  私は小さく頷いて、彼の手を取った。 彼の優しさに甘えて自分だけを心配して、 記憶がないのは私の所為じゃない、そううやって逃げたんだ。

 赤い記憶を手に取るのが怖くて仕方なかったから……。

22.鏡の家

 彼と通学路を歩きながら他愛無い話をした。 今朝の七瀬君との会話は勿論気になるが、聞く事なんてできなかった。 聞いたら今の時間が壊れてしまう気がしたから彼も私も笑ってる、この時間が。 だけど本当は二人揃って笑ってないのも判ってた。
「そういえば、最近は隠れ家には行ってないの?」
 私は質問をした。 記憶がなくなって三日。 もしかしたら四日前には行ったのかもしれないけど、 二ヶ月前までは毎日のように行っていたから。
「え?」
 彼は少し困った顔をした。 少し戸惑っているようにも見える。
「律君……?」
 私は首を傾げた。
「えー……っと、鍵を無くしちゃったんだ」
 彼はそう言って苦笑した。
 私は少しその態度に違和感を覚えたが、「そうなんだ」と返してそれ以上は聞かなかった。 そして記憶への疑問は見てみないフリを続けた。
 途中彼の家に寄って、もう少し先にある私の家に二人で向かった。 今日も母が彼に頼んでいたからだ。 正直申し訳なく思うけど、彼は嫌な顔しないで一緒にいてくれる。 だからまた甘えてしまう、これが依存というのだろうか……。 だけどそんな私に彼は笑顔で手を差し伸べてくれた。

 テレビを見たりして他愛ない話を続けていたら、いつの間にか夜はふけ二十二時になっていた。 時間を長く感じていたはずなのにいざ過ぎてみるとあっという間だ。
 彼がお風呂に入ってる間に私は二人分の布団を敷く。 少し身体が重く感じるのはきっと私が忘れてしまっていたお腹の子の為だろうか? だけど眩暈や痺れが襲ってきて何か可笑しい気がした。
 ヨタヨタとしながら私は椅子に座るとそのまま机に頭を預けた。 気持ちが悪いというより痛みだ。
「……のる」
 彼の心配そうな声にふと現実に返った。 どうやら少し気を失っていたようだ。
「ごめん、寝ちゃってた」
 私は具合の悪さを悟られないよう笑顔を作る。
 だけど彼の表情は変わらずどこか泣きそうな顔だ。 その表情の意味を私はただ見抜かれてるんだと解釈した。 本当はもっと違う意味なのに。
「ちょっと眩暈がするだけ、もう寝るから大丈夫だよ」
 私はそう彼に言うとヨタヨタと布団に潜った。
 彼はその様子を黙って見ていた。 だけど何かを振り払うように頭を横に振り、電気を消し隣の布団に潜る。
 私はなんとなく彼の方を向いた。
 彼は反対を向いていたけど、私の視線に気付いてか「……ごめん」と消え入りそうな声で言った。
 その意味はわからなかったけど、その切なげな声に何も返事をする事ができなかった。

 十一月二十日日曜日、目を覚ますと台所の方から物音が聞こえた。 ゆっくり起き上がり台所を覗くと彼が台所朝食を作っている。
「あ、おはよ。台所使わせてもらってるよ」
 彼は私に気付くとそう言ってまた手元に視線を戻した。 しばらくすると目玉焼きとトースト、それに紅茶がテーブルに並んだ。
「ごめんね朝食作らせちゃって……」
「全然?のるは病み上がりだし、それにただ泊めてもらうのもなんだし」
 彼は軽く微笑むと目玉焼きの白身をフォークで割いて口に運んだ。 だけどどこか申し訳なさそうな辛そうな表情が見て取れた。
「泊まりに来てって言ったのはお母さんだもん、律君が気を使う必要ないのに」
 私は苦笑した。 彼のその表情の意味を聞きたいけど聞けなかった。 今の私にはきっと話してくれない事情があると思ったから。
 彼は苦笑する。 そして何かを決意したように口を開いた。
「のる、水曜日空いてるよね?一緒に行きたい所があるんだ」
 私は急な話にパチパチと瞬きをした。 それに今度の水曜日は十一月二十三日。 彼と初めて小さな遊園地に遊びに行った日だ。 何だか特別な記念日で私は頬を染めた。
「何か思い出せるかもしれないし、元々行く約束してたんだ」
 彼は私の返事を待たずに続けた。
「そ、そうなんだ、ごめんね?カレンダーの印はそれだったんだね」
 私は頬を少し掻きながら答えた。
「ダメかな?」
 彼は首を傾げて聞いた。 だけどその様子は断る事はないと確信してるみたいでどこか負けた気分だ。
「……わかってる癖に」
 私はそっぽを向き頬を膨らました。 怒ってるわけじゃないけど、何となく負けた気分になったのが悔しかったから。
「うん、わかってる」
 彼は楽しげに答えた。
 この時私はチラッとしか彼を見なかった。 だから私は、彼が本当は悲しげな表情で微笑んでいた事に気付かなかったんだ。

 十一月二十三日水曜日、私は彼と一緒に思い出の遊園地に出かけた。 こじんまりとして小さな遊園地だけど私達にはこれが丁度良かった。
 入り口で貰った遊園地内の地図を見ながらどこに行くかを話す。 その普通がとても楽しくて、途中顔を見合わせて笑った。
 ふと私はその地図にあるマークを見つけてそこを指さして彼を見た。
「律君、観覧車に乗ろうよ」
 私は彼の手を取って観覧車を指さしながら言う。
 だけど彼は「えー……」と少し嫌そうな声をあげた。
「律君観覧車嫌いだったっけ?あれ……でも前に来た時は乗ったよ?」
 私は残念そうに首を傾げながら聞いた。
 彼は溜息を付くと私の額を軽く突付く。
「嫌いなんじゃなくて、観覧車は普通最後じゃない?」
 そう言われて私は「それもそうか」と笑顔で返し彼の腕に抱きついてみた。 普段はこんなにベタベタとはしてないつもりだけど、 遊園地という場所はなんとなく普段より気分が高ぶる。
 彼は一瞬驚いたけど文句は苦笑しながらその腕を貸してくれた。
 私は嬉しくて「ありがと」と言うと再び地図に視線を戻した。
「あ……でも絶叫系ばっかりはやめときなよ?身体に悪いよ」
 彼は不意に思い出したように注意を促した。 お腹にいる子供の事を気遣っているのだろう。
 それもまた嬉しくて更に顔がほころぶ。
「大丈夫、そもそも絶叫マシン苦手だもん」
「それで遊園地楽しい……?」
 彼は少し飽きれたように小さく笑いながら聞いてくる。
「だって律君と一緒だもん、楽しいよ♪」
 私は愚問と言わんばかりにそう返す。 実際初めて来た日を思い出して楽しくて仕方がなかった。 だから彼が同じ事を……前に来た時と同じ事を言ってる。 他愛ない会話だけど、彼が同じ台詞をまた同じ場所で言ったのには訳があるのに……。 私は彼の中で起きている事を忘れてたから、気にも止めなかった。

 結局数少ない大人しいアトラクションをいくつか回っただけで、 ほとんど乗り物には乗らなかった。 だけど遊園地の中を巡回する汽車やちょっとした博物館、 これだけでも時間を忘れるほど私は楽しめた。 気付けば閉園の七時までもう一時間半を切っている。
「ねえ律君もう時間あまりないし……」
「これとかどう?」
 私がそろそろ観覧車に乗らない?と言い切る前に、目の前のアトラクションを指さして彼は言葉を遮った。
「え?」
 私は顔をあげると、そこにあったのは人気の少ないミラーハウス。 常連の人は構造を覚えてしまうのかあまり寄りつかないアトラクションだ。 私達のような滅多に来ない人ですら、一度でも入っていれば寄りつかない。
「……入ったら可笑しくなるかな?」
 彼は聞いた。
 私は返事に困って首を傾げる。 鏡の中に鏡が映ってその中の鏡にまた映って……そんな繰り返した空間の中で出口に向かうアトラクション。 感覚が麻痺して鏡にぶつかったり何てことはあるかもしれない。 でも頭が可笑しくなる程の衝撃は受けないと思うのだが……。
「あはは……意味わからないね」
 彼は苦笑すると、私を置いて中へ入ってしまった。
「あ……待って!」
 私は慌てて後を追った。
 中に入るともう彼の姿はない。 辺りを見回しても見えるのは困った顔をした自分ばかりだ。 段々困った顔が怖くて強張っていく。 それを見て自分がよくわからない恐怖に支配されてるのがわかった。
 壁に手を当て鏡に突撃しないようにゆっくりと中に進んでいく。 だけどどれだけ進んでも彼の姿はない。 突然一人にされた事が怖いのか悲しいのか、鏡に映る私は言いようのない泣きそうな顔で震えている。 どこかであったような光景だ。
 なるべく自分を見ないようにしながら進むと、 十枚くらいの鏡が張り巡らされてる多角形の部屋についた。 通路よりずっとたくさんの自分が恐怖に震える姿を見て、思わずその場に蹲ってしまった。 そしてより一層私の中の何かを刺激した。 恐怖を感じて蹲る、それは過去に経験した出来事だ。
 だけど記憶は完全には戻ってこない。 その恐怖を感じさせた人物の顔がでてこない。 だから私は自分を襲ったらしい男にこういう恐怖を感じたんだと、そう自分に信じ込ませた。
 しかし一度刺激してしまえば簡単には解放してもらえない。 自分の記憶が目を逸らすなと言うように私の全てを支配する。 思い出すのが怖い、私は思わず涙を零した。
「のる……」
 背後にある通路から彼が声をかけてきた。 まるで今のタイミングを待っていたかのように。
「り、つ……くんっ」
 私は顔をあげた。 同時に視界に映るのは繰り返し鏡の中に映る怯えた私と、その背後に立った彼の姿だ。 鏡の中の彼を見て自分の身体が強張った。 彼が特別何かしているわけではない、 ただ怯える私をただ見ているだけなのに。
 彼は私を悲しげな表情で鏡越しに見つめている。 それは哀れみのようにさえ感じられた。 気持ちとは裏腹に心の奥底で彼を恐れている私に失望したのだろうか。 それとも……。
「やっぱりなくならないよ、忘れているだけではなくならない……」
 彼は悲しげに呟くと踵を返してまた私を置いて歩きだしてしまった。
「待……っ」
 私は引きとめようとするが声は詰らせ、立ち上がる事もできなかった。 それに、彼は彼ではない別の人……そんな漠然とした記憶が脳裏を過ぎったからだ。
「律く……じゃな……っ」
 だけどどうして彼が彼じゃないのか、その理由は全く思い出せない。 それにその別の人に今では嫌な感情を持っていない。 じゃあ私はあの人の何に怯えていたのだろうか、 考えれば考える程、ズキズキと頭が痛み、胸が苦しかった。

 時間をかけてゆっくり立ち上がり、目を瞑って壁伝いで出口に向かう私は端から見たら滑稽だろう。 だけど人気のないこのアトラクションの中で迷惑をかける事はなかった。
 やっとの思いで出口に辿り付くと辺りは少し暗くなっていて、時計を見れば閉園までもう一時間を切ってしまっていた。
 辺りを見回すとあの人は遠くへ行く事はせず、ミラーハウスの出口から辛うじて見える所に佇んでいた。
 私が傍へ行くと私に気付いて振り返った。
「あの……」
「……思い出した?」
 あの人は私の態度の変化にそう寂しげに微笑んだ。
「律君が、律君じゃない事だけ……」
 私がそう返すと「そう」と気のない返事をして顔を背けた。 だけど私を置いていく事はせず、こちらに手を差し伸べる。
「観覧車、乗らない?僕が嫌じゃなければ……」
 私は戸惑って中々手を取る事ができずにいた。 それに気付いた目の前の彼は手をっきゅと握り力無く握り下げようとした時、 私は勢いに任せてその手首を掴んでいた。
「……痛い」
 彼はそう呟くと悲しげな表情が少し和らげた。
 その様子にっほっとしている自分がいる。 押し込めてる記憶がそう感じさせているのかもしれない。
 滑り込みで観覧車に乗り込み夕日が沈んでいくのを眺める。 だけど会話はない。 今の私にとって目の前の彼は知らない人だ。 だから何も聞く事ができない。
 それは相手も同じで、彼も夕日を見ていてまるで口を開かない。 だけどそれではダメだと思っているのかずっと何かを考えているようだった。
「……あの」
 私達は同時に口を開いた。 この緊張感に耐えられなかった私と、 意を決した彼と。 だから私は「どうぞ……」と一歩引いた。
「君が記憶を無くした日、本当は何があったか……話そうと思うんだ」
 彼はそう申し訳無さ総に頭を垂れた。
 その言葉に私は首を傾げる。 それは"暴漢に襲われた所を彼と七瀬君が助けてくれた"というのは嘘だったという事か? そして、犯人は捕まっていないという事も嘘なのか。
「君が酷い目にあったのは嘘じゃない」
 彼は首を振って答えた。
「そして犯人が捕まってないのも本当だ……ただ」
 私は固唾を飲んだ。 どんな言葉が続くか想像もできない。 いや、本当は判っているのだろう記憶を無くす前の自分は。
「その犯人が生きて見つかる事はないんだ」
 彼はそこまで言うと先ほどより強く拳を握った。
 それは犯人は死んでいるという事なのだろう。 そして誰がそれを行ったのか、もう何となく判っていた。 無くした記憶が私の思考を助けたのかもしれない。
「僕は約束を守れなかった、どうしても許せなくて……っ」
 私は彼の震える手を取ろうとしたが、彼はそれを拒んだ。 私を拒んでいるんじゃなくて、自分を拒んでいるみたいだ。
 記憶の欠片がジグソーパズルのように組みあがっていく。 思い出したくなかった記憶、甦れば甦る程その理由が判る。 こんな記憶でも取り戻すべきだと思えるのはよほど人間的にできた人だけだろう。
 私が記憶を無くした日、私は冷たい床に横たわり薄らとした意識である一点を見つめている。 血溜まりの中横たわる喜多野君をだ。
 私が冷たい床に横たわるのは、慌てて逃げようとした喜多野君に押し飛ばされて頭を強く打ったから。 喜多野君が血溜まりの中横たわるのは、喜多野君のした事に怒ったリツ君の仕業だ。
 私が喜多野君に注意していれば、彼はその手をこれ以上汚さずにいてくれたかもしれない。 そして今日リツ君に最後の思い出を作ってあげられたかもしれなかったのに……。
 気付いた時には私はボロボロと涙を零していた。 あんなに恐れていた記憶が甦ったのに、普通なら発狂しているかもしれない程の記憶なのに、 彼の事を思うと恐怖より悲しさが上回っていた。
「僕には泣いてもらう価値なんてないよ……」
 リツ君はそう呟くと、残りのピースを埋めるようにこの二ヶ月間の話を続けた。 最初の一ヶ月はリツ君には断片的な記憶でしかないが、 過去を遡れば遡るほど、私の中の記憶は鮮明になっていて問題はない。 そして観覧車を降りる頃には、完全に記憶を取り戻した。

 私は母に連絡を取り病院に行く事にした。 だから最寄の駅でリツ君とはお別れする事になり、 ベンチに座って二人で母の到着を待った。
「自首するの……?」
 人気が少なくなるのを見計らって私は聞いた。
「まだ……証拠を取り戻さないと……」
 リツ君は歯切れ悪く言った。
 彼曰く証拠を提示できないと研究所があらゆる手を尽して事件を揉み消しに掛かるかもしれない。 そして悪戯だったで済まされてしまうかもしれないと言うのだ。 一見ただの言い訳のようだが、過去に事例がある以上気にしないわけにはいかなかった。
 自首する意志はある、だけど状況がそれをできなくさせていた。 しかし彼の青褪めた様子にそれだけではないような気がしてならなかった。
「……じゃあ規皆さんをどうして」
 そこまで意志が固まっているならどうしてまた人を巻き込んだのだろう。 私は訝しげに聞いた。
「それは……僕じゃない……」
 そう搾り出すように言うと彼は一層青褪めて言った。
「彼女を巻き込んだのは……七瀬だ」
 私は目を見開いた。 夜観之君がそんな事を何の為に、とても信じられない。 だけど学校での彼との会話を思い出すと、それらしい台詞が幾つもあった。 そしてリツ君は言っていた"被るつもりなら僕はそんな事許さない"と……。
「夜観之君の所に……!」
 私は立ち上がり彼に夜観之君の所へ行こうと促そうとした。 しかし母の呼び声に私は言葉を噤んだ。
「朝霧君ありがとう、気をつけてね」
 母は私の横に立って御礼を述べた。
「いえ、のる……んさんの記憶が戻ってよかったです」
 リツ君は笑顔で答えると立ち上がり「失礼します」と言って私の横を通り過ぎた。
「うん……」
 私は通り過ぎる時に耳打ちされた言葉に小さく返事をした。 "僕が行ってくるよ"と、 短い言葉だけどすごい嬉しかった。 でもきっと私を気遣ったのではなく彼が夜観之君を気にしていたのだろう。
 だけど後で私は知る。 彼が新たな罪を犯した事を……。

...2009.10.01