夜遅く、ソレイユはルミエールが眠る部屋を訪れた。
起こさないようにと言うにはあまりにも覚束無い足取りで、月明かりを頼りに彼女の傍まで来ると、顔を覗きこむ。
「……っ!」
彼女の傷に巻かれた包帯が赤く見えて目を擦ると、包帯は白く戻る。それに安堵すると、ゆっくりベッドの傍に腰を下ろした。
そしてもう一度ルミエールを見ると、とても安らかな表情を浮かべる。今日一日の出来事全てが、まるで悪い夢な気さえした。
「俺は……ルミエールの為なら、なんだってできる」
ソレイユは僅かな安息を得ると、今にも泣きそうな微笑みを浮かべる。
「できるんだ……」
彼女に手を伸ばすと、その手が赤く見えて身体が震えた。
もう一方の手でその手を掴み、震えを抑えるようにその場に座り込む。
「この手で、貴女に触れる事なんて……」
ソレイユはベッドの脇に頭を預けると、堅く目を瞑った。
...2012.07.03