神様の日々

何も存在しない何もないその世界に一つの魂はあった。
その魂はただプカプカと何もないところに浮いている。
そして魂は声ではない声をあげていた。

「一人は寂しい……一人は嫌だ……」

序章:神様の日々

 神々が住まう都市にある創造主の間。 部屋というには広すぎるその空間に狂ったように泣き叫ぶ一人の男性がいた。
 そしてただそれを見ているしかできない女性。 その表情は目の当たりにした現実に愕然とし、青褪めていた。
「ウォレス様……!」
 そんな二人がいるその部屋に駆け込んできた一人の少年が泣き叫ぶその男性の名前を呼んだ。
 だがウォレスと呼ばれたその男性は返事をする事はなく、泣き叫び続ける。
 少年は何が何だかわからず女性に説明を求めるが首を横に振られるだけ。 しかし、ウォレスの前を浮く水晶に何かが映しだされている事に気付くと、それを覗きこんだ。
「……っう」
 水晶に映し出された光景に少年は青褪め口を塞いだ。 血に塗れて荒んだ世界、その血の海にはかつて人だったものの残骸が浮いている。 そんな残酷な光景が水晶には映っていた。
「どうして……どうして……っどうして私を……っ!!」
 ウォレスは誰に聞くでもなく問う。 しかしその答えは返ってくるはずはなく、虚しくその部屋に響いた。

...2009.02.14/修正01